Now Loading...



今でこそ全米有数の観光地ケープコッドも、400年前は「飢えた犬が群れをなしてさまよう広い陰気な場所である。地球上で最も興味をそそらない景色である( ヘンリー・デイヴィッド・ソロー)」とさえ言われた荒涼とした半島でした。その印象を決定づけたのは半島の至る所で行く手を阻むクリークに違いありません。あるものは冷たい池に繋がり、あるものは外洋の浅瀬に繋がり、あるものは砂丘の窪地に横たわって雨が降るのを待っています。

Capecod/入口 Dune/砂の半島 Pond/彷徨う池 House/安息の家 Lighthouse/灯台

水路の迷宮
日本では潮来とか柳川の「水郷」が有名ですが、ケープコッドでは水が染み出してそこに留まっている「クリーク」。ここには水を蓄える山もなく、後退した大陸氷河の名残で今でも堆積と侵食を繰り返している激しい半島です。水溜りが迷路にように這っていて、砂の半島なのにあちこちに湿地帯があるという珍しい景観です。
日本には潮来笠を被って櫓を操る娘船頭の風情がありますが、荒々しい自然だらけのアメリカには細やかな情感を育む風土・景観はありません。その代わり生命の細胞を酸素で満たす透明感に溢れています。子供や犬が砂浜を見て夢中で駆け出す本能を刺激する何かです。