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原風景「夢の先」  うっとり探偵団「アカデ ミアサロン」 Academia Salon by Uttori Tanteidan 


現在のデトロイトの惨状は目を覆うものがあります。余りの酷さに「世界で最も豪華な廃墟ギャラリー」と呼ばれている程です。高名な建築写真家のフィリップ・ジャーメインが→こちらから「ギャラリー」を取材しています。果たして日本車が打ち砕いた栄光を取り戻せるのか。デトロイトの復活への取り組みを、子供の頃アメ車が夢だった「うっとり探偵団」が探検します。

連邦破産法9条の適用申請によって、負債総額180億ドル(約1兆8000億円)を超える財政破綻のデトロイト市の運営はミシガン州が引き受けています。ミシンガン州のスナイダー知事が当時のデトロイト市について「警察に通報して警官が到着するまでの時間はデトロイト市では58分で、全国平均の11分を大きく上回っている。事件解決率もわずか8.7%で、全国平均の30.5%にはるかに及ばない。同市の街灯の約40%が故障し、稼働している救急車は3分の1に過ぎない。人口はピーク時の63%に減少し、廃墟家屋は約7万8000件に上る」と語っています。

そればかりか地下鉄もなく、バスはバス会社の財政難から路線閉鎖や本数削減でまったく頼りになりません。通勤手段を持たない貧困層は一向に仕事を確保できないという負のスパイラルに陥っていたのですが、意外なことに、2013年7月の連邦破産法9条の適用申請は住民たちからは歓迎されてたといいます。理由はこうです。人口減少・税収減少・空き家の増加・犯罪発生率の増加等に悩まされている、そんな先が見えず誰の助けも借りられない状況が続くよりも、早々に財政破綻を認めて再起を図る方がマシだという訳です。そして2013年7月21日、市職員や退職者が年金等の削減計画に同意したため長年、市の財政を圧迫していたレガシーコスト(過去のしがらみから生じる負担を意味)から解放されたデトロイトは、早々に再生への大きな一歩を踏み出すこととなりました。更に同法の適用申請によってデトロイトの財政破綻が知れ渡ると、間もなく中心部の空きビルに格安賃料にメリットを感じたベンチャー企業が集合、その年の暮れ頃になると不動産投資家がデトロイト市内の優良物件を購入する動きが活発になり、不動産市場が回復していくという経済原理が働きました。

2014年11月には、各方面の債務圧縮策に加え、ITベンチャーの興隆と不動産市場の回復が寄与し始めていたデトロイト市の再建案を、米連邦破産裁判所が承認。実に70億ドルの債務の免除が認められ、12月10日には”破産法に基づく保護”の終了が正式に発表されたています。向こう10年、デトロイト市は財政破綻前から荒廃していた市政サービスに15億ドルを投資して、警察・消防等を正常運営に戻し、街の衛生を保ち、廃墟を取り除いて、消えている街灯に灯を燈すのだという・・・数十年間に渡って続いた産業都市デトロイトの衰退は終わり、市が明るさを取り戻すことを「原因を作った日本」としては願わずにはいられません。夢少女・空想少年もそんな未来に駆け出しています。