原風景「Vehicle」 うっとり探偵団「アカデ ミアサロン」 Academia Salon by Uttori Tanteidan
外で遊ぶようになった「幼児」の目が最初に釘付けになる対象は「乗り物」が多いようです。得体の知れない「動く大きなもの」に対する関心は動物の本能的な行動ですが、成長し「子供」になると「動くもの」から「自分を遠くへ連れて行ってくれるもの」になります。夢少女・空想少年の始まりです。それはおしゃれをした女の子を王子様が待つお城へ連れて行ってくれる馬車だったり、冒険少年を秘宝が眠る絶海の孤島へ連れて行く船だったり、時に夜空の彼方、北十字星から南十字星まで天の川を走る銀河鉄道だったりします。今では絵本からゲームに置き換わっていますが、高度なCGを駆使した仮想ゲームは現実と区別がつかないほどの出来で、大人にとっても充分楽しめるレベルです。
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例えばこんな感じ。移動=変化は全ての生物にとって根源的な衝動であるといえます。移動の妖しを「うっとり探偵団」が探検します。
ところで聞きなれない「Vihicle」とは何か。同じ乗り物でもcarとautomobileとvechicleはどう違うのか。Wikipediaで英語のおさらいです。「car」とは一般的にいう車ですが自家用車や乗用車という言葉が一番近いです。この「car」には、トラック・バス・タクシーなどは含まれません。また鉄道の客車もcar。列車はtrainです。「automobile」は自動車という概念が一番近く、自家用車だけでなくバスもトラックも含まれる。 乗り物の歴史は馬車から自動で動く乗り物に変わっていきました。自動で稼働するものとして「automobile」になったのです。「vehicle」は乗り物全般を指します。自動車もトラックも宇宙船も馬車もソリも、輸送手段としての乗り物です。また自動車会社が公式に説明する場合も「vehicle」・・・「ふう~ん」でお仕舞いです。ここから我が探偵団の出番です。
Wikiipediaの説明は大人向け。正確には「判ったような気になる」だけ。成長が止まっ大半の大人にはそれで充分かも知れませんが、これから未知の世界を生きる「夢少女・空想少年」にとってはそうはゆきません。そこで「神話」。神話に登場する乗り物といえば、羽を持つ馬「ペガサス」や上半身が人間、下半身が馬の「ケンタウロス」が代表的ですが、それは「移動・運搬手段」というより「力の象徴」。推進力が不明な「ホウキに乗った魔女」なんか論外です。外国では”悪魔に魅せられた女”の意味です。英語でwitchというのはそんな理由から。ここで「移動する」ことと「空を飛び回る」こととは別ものであることに気付きます。人類がより良い風土を求めて移動を始めたのは本能に根ざす行動ですが、失敗例も多かった筈です。空駆ける乗物神話も憧れというより、「駄目な時もあるさ、めて夢だけでも」という慰めの対象だったのかも知れません。そんな意識でこの暗雲渦巻く雲を背景に横たわる懐かし乗り物達も「行き先は楽園とは限りませんよ。覚悟して乗って下さいね。」と覚醒を求めているかのようです。