陶酔 / Academia

陶酔と覚醒で細胞が蘇る。デジタルとアナログで再現する世界初のGalleryです。
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原体験「記憶の謎」  うっとり探偵団「アカデ ミアサロン」 Academia Salon by Uttori Tanteidan 


「この目で見たのだから間違いない」なんて言い張る頑迷な人にこんな事故の話をしたいと思います。1977年3月27日、スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島ロス・ロデオス空港の滑走路上で2機のボーイング747型機同士が衝突し、乗客乗員合わせて583人が死亡した史上最悪の航空事故。そして2001年2月10日、ハワイのオアフ島沖で、愛媛県立宇和島水産高等学校の練習船に浮上してきたアメリカ海軍の原子力潜水艦グリーンビルが衝突し沈没させ9人が死亡したえひめ丸事故。どちらの機長も艦長も「まさか離陸する滑走路上に別の旅客機がいるなんて」「まさか潜水艦の真上に船がいるなんて」。ベテランのプロが何故・・・ここに人間の認識の盲点があります。体験と知識があるベテランほど「よくあること」を最優先する。だから手際がいい。裏を返せば「めったにないこと」を見逃す傾向があるということです。二つの事故例はその「めったにないこと」が起こった・・・二人共、眼(知覚)で見ていたけれど、脳(認識)が見ていなかったのです。視覚と認識の間の闇です。同じことが「記録」と「記憶」にも当てはまります。

我々は「眼カメラ」なんて表現があるように「眼」でみた風景がそのまま「脳」に「記録」されてると思い込んでいます。しかし認知心理学者「エリザベス・ロフタス」は事故・事件の目撃証言どころか当事者の「記憶」も、外部からの情報やストレスで簡単に歪んでしまうことを実証。この研究によって、彼女は2002年「20世紀で最も影響力のある100人の心理学研究者」選ばれています。レイプされた女性が全くの別人を「自信を持って」犯人だと決めつけた事件、父親にレイプされて自分で堕胎したと訴えた娘が処女だったという事件・・・そこにはバイアスによって容易に変容したり創作される記憶の闇があります。この人間だけの特性は進化のバグなのか・・・記録と記憶の間に潜む妖しを探検します。

五感からの情報は「知覚」として、生死に関わるものは本能が反射的に行動、余裕があれば仲間に知らせる。将来に備えて情報として蓄積する・・・膨大なデータを「撰定」して必要なエキスだけを残して思い出しやすいように加工する。語り伝えやすいように物語化する。絵が未熟な時代や写真が登場する前は伝承方法は目による身振り手振りと耳からの「物語」でした。音楽もあったかも知れません。やがて事実関係を離れて、それ自体「陶酔」と「覚醒」の対象になったに違いありません。今でも人は伝説や神話が大好きです。しかし空想少年は伝説や神話をそのまま受け取りません。「完成型」よりその「原型」は何かを想像する方が刺激的だからです。例えば「羽衣」や「天馬」はオーロラか彗星を見たのかも知れないし、「ノアの方舟」はボスポラス海峡から流れ込んだ氷河期が終わって膨れ上がった地中海の水が流れ込んだのを見たのかも知れない・・・その他「日食」「雷」「火山」「新星爆発」など「神秘的な自然現象」には事欠きません。科学知識がない時代の人類が衝撃的な体験をどうイメージ化したのかを想像するのは、未来の人類が五感をデジタル化してどんな仮想世界を生み出すのかを想像するのと同じくらいの楽しみです。