三浦半島の南端は見渡す限りの台地。西側には遥か伊豆半島や大島を望む相模灘、東側には世界有数の航行船舶数を誇る東京湾と房総半島。同時にここは世界有数の飛行ルートの真下でもあります。羽田や成田の離着陸機が引っ切りなしに飛び交っている。「だから色んな電波塔が乱立しているのか」なんて感心しているようでは探偵団ではありません。乱立しているということは、「そこに得体の知れない塔や柱が混じっていても目立たない」と考えるべきです。
昔の子供にとって鉄塔は最初に刷り込まれる「怪し」。怪電波を発する黄金バットや密かに母船と交信している金星人を「見つけてやる」なんて張り切りながら「でも見つかったらどうしよう」。そんな好奇心と恐怖心との葛藤が想像力を育みます。濃密な記憶が蘇る風景は三浦半島の至る所に潜んで「うっとり探偵団」を待ち構えています。で画像拡大
本当は何をやっているのか誰も知らない場所・・・「許可なく立ち入った者は法律により罰せられます」なんて警告看板が余計想像力を掻き立てます。例えば「葉山VOR」。超短波全方向式無線標識施設という飛行機の方位を知る無線標識。GPSが実用化した今では無用な長物なのに葉山の山中で今も不気味な姿を晒していたり、武(たけ)には「関東総合通信局・電波監理部・宇宙国際監視課」なる巨大電波塔群があって、宇宙を飛び交う電波を監視しています。更に台地のあちこちに残る旧日本軍の電波塔のような痕跡・・・こうなると「普通」の電柱や鉄塔まで意味ありげに見えて、空想少年を妖しの世界に誘います。 → 画報トップへ戻る