想像の原点は「恐れ」です。目線が低い小さな子供にとって覆いかぶさるように迫る影は得体の知れない怪物。無我夢中で逃げる。翌日の昼間に恐る恐る「現場」に戻って「怪物」の正体を確かめる。そこにあるのは何の変哲もない作業小屋だったり、いびつな煙突だったり、枝振りのいい樹木。「な~んだ」とちょっぴり大人になった気分で引き上げる。しかし違う場所で新手の影に出くわすと「わっ~!!!」。これを繰り返しながら子供は立派な少年探偵団に成長します。今も日暮れ時、丘のあちこちに浮かび上がる得体の知れない影。それはおじさんになった「うっとり探偵団」が子供に戻る郷愁の影です。 で画像拡大
三浦半島が「影」に事欠かないのには理由があります。台地が多いということは、そこにある建物や物体は下から見上げる位置にあるので日没で浮かび上がる「影効果」はひと際目立つ訳です。だけでなく、畑の中に旧日本軍の遺構があって、昼間は目立たなくても日没時には異様な形を浮かび上がらせて探偵団を興奮させます。影は想像力の原点です。
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