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薔薇の秘密/Rose Garden
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ここ「サロン・アカンサス(Acanthus)」の裏庭には季節ともなると様々なバラが咲き誇り、その観賞のためにわざわざやって来るお客さんもいます。というのはあくまで地球人向けの説明。昔から花の女王として人間を惹きつけているのは単に美しいからだけではありません。そんなバラのフリをして地球人を油断させている「ばら星雲(一角獣座にあるRosette Nubula)」の星人にうっとり探偵団が迫ります。





薔薇族といっても”あの世界”のことではなく、正真正銘のバラ・・・かといってご婦人が大好きな「園芸のバラ」のことではなく、古代より人間を捉えて話さない妖しい象徴としてのバラの話です。歴史好きな人なら百年戦争後の1445年にイギリスで勃発したヨーク家とランカスター家との「薔薇戦争」を思い出すかも知れません。赤いバラがランカスター家、と白いバラがヨーク家・・・源平紅白みたいな話ですが、”紋章”というのが探偵団の好奇心を刺激します。普通ならライオンとか鷲にする筈なのに「戦闘意欲」が涌かないバラとは・・・バカにしてんのかと思うくらい面妖です。

例によって地球人がいない時を見計らって今はサロン・アカンサスに潜んでいるバラ共を詰問します→

 薔薇の秘密
例によって地球人がいない時を見計らって今はサロン・アカンサスに潜んでいるバラ共を詰問します。

探偵団「まずは名前を聞こうか!」

バラ「バラの名前ですか。そんなものはありませんよ!」

「何かトゲのある言い方だよな」

「この時期になると”わーっ、キレイ”なんておばさん相手に疲れてるんですよ。手短にお願いしますよ」

「じゃあ手短に聞こう。おまいらの出身星はばら星雲だな?」

「そこまで知っているなら・・・」

「そうはいかないのさ!クレオパトラや歴代の美女を狂わした手口。どうせ匂いや色に仕掛けがあるんだろう?」

「さすが探偵団!じゃあ”オールドローズ”の話は知ってますよね。1年に1回しか咲かない我々の先輩達・・・」

「今の”モダンローズ”は4回も咲く。その張本人がナポレオンの皇后ジョセフィーヌさ。何しろ20数年の間に4800種類も作り出したんだからな。どっかにバラ撒くつもりだったのかな?」

「その通り!あれは我々とナポレオンが組んだ世界制覇の秘密兵器だったんです。薔薇戦争の時は運用ミスで失敗しましたが」

「そんなこったろうと思った。何しろバラは王達の寝室にまで入り込めるもんな。しかも鼻を近づけて接近する」

「そこで”バラウイルス”を吸引させるという訳です」

「そのウイルスの中にナポレオンに従うおまじないと言うかプログラムが組み込まれている訳だな。あれっ!だけどナポレオンはこけたよな?」

「そこなんですよ!何を間違えたのか彼は自分でそのウイルスを吸ってしまったんですよ。自分に従う自分に従う・・・無限ループの地獄です」

「今まで砒素による毒殺・中毒説が一般的だったが、バラウイルスとはな・・・だけと彼以外の人間が沢山それを吸って彼の死後も忠誠を誓うという展開にならなかったのは?」

「理由は二つ。対象がなくなれば作用は消去される。もうひとつは勘のいい奴がいて普通のバラと兵器バラの匂いを嗅ぎ分ける犬を飼うようになった」

「それがコーギのボブ店長の先輩、犬座の連中という訳か!”甘い話にゃ裏がある””甘い香りにゃトゲがある”ということだな」

「アカンサスのバラと犬・・・話が繋がってよかったですね。」