魔界サロン/Makai
← アカンサス入口 / Acanthus Top
ここは「叶神社」。昼間は善男善女の願い事を叶える神社、日没後は鬱蒼とした森に潜む怪人・妖怪の集会所。この森の中に”サロン”があります。昼間の神社を見て”パワースポット!”なんて関心するようでは初心者。元々”寺社”とは現代人なんか及びもつかない感知能力を持った先人が選んだ場所。それが磁力線なのか未知の物理現象なのか今の科学では解明できないエネルギーに満ちています。
「えっ!寺社ってここは神社でしょ?」
「それはいい質問ですね明智君!実はこの”サロン・アカンサス”は寺の敷地内にあるのです。つまり神社と寺のエネルギーが合体した最強の空間なのです。その証拠にここに生い茂る樹木・・・同じ種類とは思えないほど大きく元気です。ペリー提督や勝海舟や吉田松陰や佐久間象山も”来た”のではなく”引きよせられた”。これが探偵団の解釈です。この強力磁場に潜む闇のエネルギーを ”共感”する悦楽とは・・・来れば判ります」
近代日本はここから始まった
「右の風景は現代の浦賀港。このうらぶれた港町から近代日本が始まったなんて想像ができません。しかし紛れもなく、ここに軍艦4隻を率いてぺりー提督(代将)が姿を現し、ここで日本初の洋式軍艦が建造され、勝海舟らがここからアメリカに渡った・・・激動の明治・大正・昭和の幕が切って落とされた場所なのです。その実感が涌いてくるのは妖怪共が跳梁跋扈する日没後。闇の奥に歴史を動かす得体の知れない”妖し”が今も息づいています」
「下は今も名残を留める浦賀ドック跡。2003年に閉鎖されるまでこんな自衛艦の修理を行っていました。神社の鳥居の前を軍艦が通るなんて風景は日本でもここだけかも知れません。因みに鳥居の横で大型バイク(Z1400)から降りて辺りを伺う二足歩行の生命体は妖怪の回し者ではなく、うっとり探偵団長である自分の愚息です」
「叶神社は”勝海舟断食の場”として有名ですが、愚かな地球人ほどこうゆう話を真に受けます。壮健な身体ではない海舟にとって命懸けの渡米を前に体力が衰えるような断食をするとは思えません。本当は”願掛け”というよりこの魔界に潜む”エネルギー”を貰いたかったのではと、うっとり探偵団の想像は膨らむのです」
「解明ほどの野暮はない?探偵団と矛盾してませんか?」
「確かに!実は探偵団の悦楽は科学的・合理的な解明・探検よりその過程でフル回転する”空想力”。”想像力”と言わないところが肝です。想像とは現実に基づいた”仮説”。これは頭の良い人に向き。同じ興奮でも”空想”の方が遥かに根源的で官能的なのです」